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BAR-NAVI(バーナビ) - お酒、アルコールが飲めるバー検索サイト

THE プロフェッショナル インタビュー

今夜はどこのバーに行こうか。 数あるバーの中から自分のいきたいお店を選ぶ。 いや、お店を選ぶといういうより、誰に会いに行こうか考える。 気兼ねなく話させるあの人。だまっていても優しい目をしたあの人。 その日の気分によって、会いたい人は変わるものだ。 さあ、今夜は誰に会いに行こうか・・・

銀座 ガスライト/東京・銀座 井口法之 氏

埼玉から銀座へ。お客様が後押しした「成長」

写真:温かい光で演出されたカウンターが迎えてくれる。
温かい光で演出されたカウンターが迎えてくれる。
写真:バックバーに並ぶ数々の銘酒。
バックバーに並ぶ数々の銘酒。

きっかけは、トム・クルーズ。80年代に大ヒットした映画、「カクテル」の中で繰り広げられた華麗なテクニックを目の当たりにした井口少年の中に芽生えた「バーテンダーになりたい」という思いは、やがて現実のものとなった。

「最初はなんとなく、カッコイイな、という程度だったと思うんですけどね。それがいつのまにか自分の進路になってしまった。この世界に入ってみたら、映画みたいな華麗だけな世界じゃないってことにすぐ気づきましたけど(笑)。」

埼玉時代にコンテストに参加すると、ライバルたちの所属先は銀座の店が圧倒的に多かった。同じ年代で、銀座で腕を磨いている連中がいる。それは井口さんのモチベーションに火をつける大きな要因になった。20代も半ばになり、さらなる成長を求めた井口さんはいよいよ銀座へと向かう。そこで出会ったのが、『GASLIGHT WHITE HORSE CELLAR(東京都/四谷)』 酒向明浩氏 だった。

「酒向からは、すべてを教わった、と言っても過言ではないですね。とはいっても、『ああしろ、こうしろ』と細かく指示されたことはあまりありません。背中を見て学んだというか……。お客様との接し方、お酒の作り方、出し方、あらゆることが勉強になりました。もちろん、まだまだ学ばなくてはならないことはたくさんありますけれど、あのころの経験は何にも変えがたいと思います。」

ガスライトの一員になって程なくしてガスライト 銀座店を任されたので、常に酒向さんの身近にいたわけではないそうだが、それでも酒向さんからは大きな影響を受け続けた。そして井口さんは、憧れの街・銀座で生きるバーテンダーとして、徐々に階段を上がり始めた。

“ガスライトイズム”を胸に、日本一のバーテンダーに

写真:カルバドス20ml、ミントリキュール15ml、生クリーム15ml、マロンシロップ10mlをシェイク。
カルバドス20ml、ミントリキュール15ml、生クリーム15ml、マロンシロップ10mlをシェイク。

07年5月に行われた、第34回全国バーテンダー技能競技大会において、井口さんは見事総合優勝を果たした。カルバドス、ミントリキュール、生クリーム、そしてマロンシロップを用いたカクテル「ラストダンス」は、創作部門でも1位を獲得。これまで積み上げてきた技術と想像力が実を結んだ瞬間だった。

「結果が出たことは自信になりました。ただ、優勝することができたのは多くの方々に支えていただいたおかげ。感謝の気持ちで一杯です。それに、優勝することがゴールではありません。むしろスタートですよね。お客様はもちろん、同業者のみなさんからも、「コンテストの優勝者」というふうに見られるわけです。プレッシャーもないわけではありませんが、それをやりがいにしてさらに精進したいと思っています。」

写真:第34回全国バーテンダー技能競技大会で総合優勝。
第34回全国バーテンダー技能競技大会で総合優勝。
写真:数々のメダルが技術の高さの証明
数々のメダルが技術の高さの証明

技術を極めるのは当たり前。その技術を余すこともなく発揮しつつ、お客様との最高のコミュニケーションを築くことこそがバーテンダーの務め、という酒向さんの教えを胸に、井口さんは腕に磨きをかけ続ける。

「作るお酒、言葉のひとつひとつに気持ちを込めること。それは酒向から学んだことであり、私が最も大切に考えていることです。カッコつけるわけではありませんが、お客様のハートに何かが伝わることが大事だと思うんです。」

井口さんは照れくさそうに、軽く胸を叩く。頂点を極めた高い技術と、温かな心。歴史ある“ガスライトイズム”は、確実に受け継がれている。

これからの季節にオススメの一杯は・・・

「程よい緊張感はあっていいと思いますが、重苦しさを感じる必要はありません。」

バーの楽しみ方について語るとき、井口さんは自らの若いころに思いを馳せる。

「初めてバーに行ったとき、扉が重たく感じられたのを覚えています。ちょっと緊張もしたのかな。でも、それはじきに慣れますよ。私としては、必要以上に固くならなくてもいいんですよ、ということを若いお客様にお伝えできればいいですね。」

常に温かく、気さくなコミュニケーションを心がける井口さんは、自らもお客様との会話を楽しんでいる。

「お客様との情報交換は楽しいですね。みなさん、プロのように良くご存知ですし。勉強になります(笑)。ウイスキーで言えば、最近は一時期の“アイラ・ブーム”はひと段落したようですね。癒し系というか、まろやかな味わいが好まれているようです。そういった意味で、やさしい味わいの日本のウイスキーも人気です。カクテルに関しては、お客様の好みをうかがいながらご提供しますが、こちらからオススメすることもあります。オススメのカクテル? 例えば、そうですね……薬草のリキュールや生しょうがを使った、ヘルシーな一杯とか。ちょっと苦味もありますが、これがまたクセになる。これからの季節にはもってこいだと思うので、ぜひお試しいただきたいですね。」

写真:自分の好みを井口氏に伝えると、数分後には極上の一杯が提供される。
自分の好みを井口氏に伝えると、数分後には極上の一杯が提供される。

いつまでも変わらない雰囲気を

写真:「バーテンダーは自分を売る仕事」と井口氏
「バーテンダーは自分を売る仕事」と井口氏

銀座 ガスライトのスタッフは井口さんを評して「オールラウンダー」だと言う。バーテンダーとしての技術、お酒の知識、会話の話題、あらゆることに精通しているということだ。「突出したところがないということですよ」と井口さんは謙遜するが、あらゆる技術と知識を高いレベルで保っていられなければ、銀座のバーテンダーが務まるはずがない。トム・クルーズに憧れ、やがて銀座を目指すようになった青年は、今や銀座を代表するバーテンダーとして知られるようになった。

「まだまだ。本当にまだまだです。毎日少しずつでも階段を上がっていければと思います。今念頭に置いているのは、銀座 ガスライトが、いい意味で『変わらない』お店であること。伝統を大切にしながら、お客様にいついらしていただいても『ああ、変わらないな』と、心からくつろいでいただけるようにしたいです。もちろん、この思いを後輩たちに伝えていくのも私の役目ですね。」

いつかは銀座に自分のお店を――それが井口さんの最終目標。しかし本人曰く、「やるべきことはまだたくさんあるんです。」井口法之という、暖かく、明るいガスライトの灯は、一段と輝きを増しながら、今日も燃え続ける。

銀座 ガスライト
店舗情報
住所:東京都中央区銀座8-7-11 ソワレド銀座第2弥生ビル6F
電話:03-3574-7633
営業時間:月〜金19:00〜02:00/土19:00〜0:00
定休日:日・祝
アクセス:JR新橋駅銀座出口より徒歩5分
メニュー
チャージ1,000円
響17年1,700円
バランタイン17年1,700円
山崎12年1,500円
白州12年1,500円
ザ・マッカラン18年1,700円
グレンフィディック12年1,200円
ラフロイグ1,200円
写真:銀座 ガスライト