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BAR-NAVI(バーナビ) - お酒、アルコールが飲めるバー検索サイト

THE プロフェッショナル インタビュー

今夜はどこのバーに行こうか。 数あるバーの中から自分のいきたいお店を選ぶ。 いや、お店を選ぶといういうより、誰に会いに行こうか考える。 気兼ねなく話させるあの人。だまっていても優しい目をしたあの人。 その日の気分によって、会いたい人は変わるものだ。 さあ、今夜は誰に会いに行こうか・・・

スペリオ/東京・銀座 吉田 均 氏

創業は昭和15年。脈々と続くバーテンダーの遺伝子

写真:温かみのある風合いのカウンター席は10席。スペリオの歴史についての会話も弾む
温かみのある風合いのカウンター席は10席。
スペリオの歴史についての会話も弾む

実に70年近くになる。店を開いたのは、吉田作次郎さん。現オーナーの吉田均さんの祖父に当たる。

「祖父が亡くなってから、祖母、母と店を継いで、私で4代目になります。祖父は元々船のバーテンダーでした。海外と日本を行ったりきたりしていましたから、その時代の日本人としては随分グローバルな感じだったんでしょうね。実家には私が子どものころから、当時としては珍しいショットグラスなんかが置いてありましたから。
 祖父はその後横浜のバーのスタッフを経て、縁あって銀座で店を開くことになり、以来、ずっとこの場所でやっています。だいぶ少なくなりましたが、まだ祖父の代からのお客様もいらっしゃいますね。」

作次郎さんは吉田さんが小さなころに亡くなったので、バーテンダーとして活躍する姿を見ていたわけではない。しかし、日本のバーテンダーの草分け的存在であった作次郎さんの遺伝子は、脈々と受け継がれていたようだ。

20代のころ、勤めていた会社を辞めて店を手伝っていた吉田さんは、一念発起してバーテンダーの技術をしっかりと学ぶことを決意。地元・横浜のホテルのバーで修行の日々を送る。さらに飲食店などで知識を広げ、スペリオを継承した。

写真:バーテンダー
「最近人気の飲み方はハーフロックですかね。ソーダ割りを好まれる方も多いです。ウイスキーの甘みを感じられる飲み方です。」

「最初は、創始者の孫だということを内緒にしていましたし、家族にも口止めしていました。古くからのお客様に知られると、どうしても甘やかされてしまう気がして。ちょっと気難しくみえるお客様が、祖父の孫だと知ると急に優しくなったり…。それが正当に評価されていないように感じていたんですね。今思うと、若気の至りですね。今ですか? それでお客様に優しくしていただけるのなら、何でも話しますよ(笑)。」

吉田さんは冗談めかして言うが、店を継いだ当初は、創業者と比較されるプレッシャーのようなものも少なからずあったはずだ。年を重ねながら、良いものは残し、新しいものを少しずつ取り入れ、スペリオという看板を自分色に染め上げてきた。

レトロで温かみのある店内は、団体客もOK

店内には素材感を活かしたシンプルなカウンターが鎮座する。ラックには、レアなウイスキーのボトルもちらほら。向かって左置くにはテーブル席。ゆったりとしたソファーが老舗ホテルのラウンジのような雰囲気を醸し出し、レトロな間接照明が柔らかな光を放つ。
「テーブル席はゆったりとご利用いただきたいので、ソファーの配置には気を使っています。10人くらいでしたら団体のお客様も大丈夫だと思います。」

古きよき時代を思わせる佇まい。しかしながら、決して堅苦しさは感じさせない。そこはかとなく漂う「余裕」は、型にはまらず、自然体であることを重んじる吉田さんのキャラクターが繁栄されているのかもしれない。
「祖父の時代は、今のように情報が溢れているわけでもなければ、珍しいお酒がたくさん出回っていたわけでもありませんでした。今のように、ジンだけで何種類も取り揃えているなんてことはなかったでしょうね。身につけた技術を駆使しておいしいお酒を提供するというコンセプトは今と変わりませんが、何よりもホッとできる時間と空間をご提供することが重要だったんです。その基本はずっと守っているつもりです。どんな方でも、気軽に立ち寄っていただける見せであることがバーの務めだと思っていますから。」

写真:スペリオ店内

ゆったりと座れるソファー席。大人数でも楽しめる、余裕のあるレイアウト

スペリオの扉は、すべての人に開かれている。

カクテルはスタンダードなものから、女性に喜ばれるフルーツカクテルまで。レアモノのウイスキーも揃う。フードのメニューも充実。季節によってメニューは変わるが、イベリコ豚の生ハムや、シンプルなアンチョビピザ、オムライスなど、ツマミから食事まで幅広く対応している。客層は30代後半以上がほとんどで、深夜は仕事明けの女性の姿も少なくない。若者や一見客は多くないが、敷居が高いわけでもない。スペリオの扉は、すべての人に開かれている。

「ウチに限らず、バーはどこもそう。お酒が好きで、空気が読める人であれば、誰でも楽しめる場所です。ルールやしきたりがないとは言いませんが、それに縛られることはないんです。どんなお客様でも、落ち着いた雰囲気の中でお酒が飲みたいからこそ、バーに行こうと思われるわけですから、わざわざ場の雰囲気を壊そうとする人はいないはずですからね。

気兼ねなくバーをお楽しみになられたいのでしたら、いくつもバーを回ってご自分に合った店を探されるのがいいと思います。人によって好きな雰囲気は千差万別ですから、みんながいいと言うバーがその方にとって最良のバーかどうかはわからないんです。お酒のウンチクが好きな方もいれば、珍しいお酒が好きな方もいる。静かに一人で飲みたい方もいれば、和気あいあいと会話を楽しみたい方もいるでしょう。自分の好みや感性にマッチしたバーを見つけることが、バーを楽しむ第一歩だと思います。特に銀座のバーは高級で敷居が高く思われがちですが、必ずしもそうではありません。土曜日などはラフな服装で来られるお客様も多いですよ。なにより銀座には星の数ほどバーがありますから、いくつかの店を回ってみることをオススメしますね。」

写真:カクテルをつくるバーテンダー

「80歳になってもシェーカーを振っていたいものです。
そのときは『吉田の作ったカクテルが飲みたい』と言われるくらいの“ブランド”になっていたい。」

ミナト横浜で生まれ育ち、現在も横浜から銀座に「通勤」する吉田さん。すっかり銀座に溶け込み、銀座でバーテンダーとして働くことの重みも熟知している。一方で、地元である横浜にも「ボナンザ」という名の店を開いている。いわく、「スペリオよりも若干ラフな感じの店」だとのこと。横浜と銀座。船乗りの祖父を持つ粋なハマっ子の血と、その祖父が築いた店を切り盛りする「銀座の男」のプライドが、うまく融合して吉田さんの根幹を成している。

写真:バーテンダー

海外留学経験のある吉田さん。「イギリスのパブやフランスのカフェのように、ざっくばらんでオープンな店が理想」とのこと。」

「これからは、これまで経験してきたことや耳にした情報を、若い世代に伝えていくという仕事もしていかなくてはならないと思っています。少子化の影響もあるのでしょうが、バーテンダーになりたいという若者が少なくなっているように思います。ウチのように代々続く店もほとんどなくなりました。このままでは寂しいですからね。スペリオに関して言えば、もうすぐ創業70年を迎えます。目標としては100年、なんとか存続させていきたいですね。あと30年。80歳を超えそうですが、ギリギリいけるかな。」

スペリオ
店舗情報
住所:東京都中央区銀座7-7-14 東幸ビル2F
電話:03-3571-6369
営業時間:月〜金17:30〜3:00/土17:30〜23:30
定休日:日・祝
アクセス:JR新橋駅、地下鉄銀座駅より徒歩5分
メニュー
チャージ1,500円
山崎12年1,600円
白州12年1,600円
山崎18年2,000円
白州18年2,000円
マティーニ1,200円
ギムレット1,200円
サイドカー1,500円
フローズンカクテル1,600円〜
ザ・プレミアム・モルツ生1,000円
写真:スペリオ