ホテルバーは美味しい
Number 14 京王プラザホテル メインバー ブリアン

昭和モダニズムのメインバーで森のウイスキー

こころやすらぐレンガ色の空間

東京駅や都庁、東京タワーにスカイツリーや各商業施設に美術館など。東京の観光名所には世界的な建築&デザイン作品も多い。遠目で眺め、近くで触れ、さまざまに楽しめる建物だらけなのだ。もちろん、ホテルも優れたデザインが施されている。

今回は副都心、新宿。建築家、故丹下健三が手掛けた都庁を視界に入れつつ、すぐそばにある京王プラザホテル『ブリアン』が舞台だ。

当コラム第2回目に登場した『ポールスター』は同じ京王プラザホテルにあって、45階という高層でゴージャスな夜景を愛でる空間だった。この『ブリアン』は窓ひとつないシックでクールな内装で、お酒や会話をじっくりと楽しむ、まさにメインバーである。実際に腰を落ち着けて飲んでみると、人を心地よくさせるためにデザインされたバーであることが初心者でもわかってくる。

壁一面、足下から高い天井までずーっと積み重なっているレンガ。ウイスキーの故郷、スコットランドから運んできた伝統的な素焼きのもので、もちろん手作り。彼の地では「微笑むレンガ」と呼ばれているらしく、確かにレンガの風合い一つ一つに表情がある。部屋中、茶一色で飾り気もないというのに、突き放すような冷たさがなく、どこかやわらかな感じがするのは、そのせいなのだ。

1980年の南館オープンに際し、リニューアルしたこのバーのインテリアデザインは戦後日本の工業デザイン界を牽引した故渡辺力によるもの。意外に知られていないのだが、わたしたち日本人の暮らしの身近には家具や時計など彼のデザインしたものが数多くある。その渡辺がデザインした『ブリアン』は昭和モダニズムな美意識に満ちていて、どこに目をやってもムダがない。背の高い独り掛けソファに座れば、ほどよく視界が遮られ、他の席の人を気にかけることもなく、自分の世界が守られる。

写真左:
白州森香るハイボール
1,250円
写真右:
鴨のスモーク サラダ仕立て
2,150円

白州の美味しさを引き出す技

そんな空間で夏の喧噪から離れて飲む一杯は最高だ。7月1日から7月末まで開催される「白州フェア」にあやかって、口開けに「白州森香るハイボール」なんていかがだろう。

ウイスキーを炭酸で割る。誰にでも作れるシンプルなものだからこそ、大きな差が生まれる。グラスに氷を入れ、シングルモルトウイスキー白州を注いでしっかり混ぜたら、ソーダ水を加える。

キャプテンバーテンダー、笹沢崇之さんはソーダ水を氷にもグラスにも触れさせない。ウイスキーにソーダ水をダイレクトに注ぎ込む。そうすることで炭酸ガスが壊れず、すっきり爽快な喉越しのハイボールが完成するのだ。フレッシュミントを添えれば清涼感も倍増する。

そして、もう一杯。この夏は「白州モヒート」を試して欲しい。すだちやミントのような香りをもつ白州はたっぷりのミントの葉とライムを加えるカクテルのベースにぴったり。シロップ入りでキュッと甘酸っぱい味わいがクセになる。


もう一つの魅力が充実したフード類。名店ひしめくこのホテルならではの料理が、和洋中レストランのキッチンから運ばれてくる。フレンチ&イタリアン『デュオ フルシェット』からは白州によく合う「鴨のスモーク サラダ仕立て」「ミックスフライのピンチョス仕立て」など、中国料理『南園』からは点心や焼きそば、和食『かがり』からはちょっとした一品料理や握り寿司などがやってくる。コースで頼む必要もないし、その日の気分で食べたいものを好きな分だけ頼めばいい。

空間よし、お酒よし、食事よし、サービスもよし。このバーは何拍子も揃った寛ぎの場。気楽に足を運んでいただきたい。

写真左:
白州モヒート1,700円
写真右:
ミックスフライの
ピンチョス仕立て
2,150円
キャプテンバーテンダー
笹沢崇之さん
東京都新宿区西新宿2-2-1
  京王プラザホテル南館2F
Tel.03-3344-0111
(代表・レストラン予約)
17:00~翌1:30LO
(日曜・祝日~23:30LO)
無休
カクテル1,500円~
ウイスキー1,250円~
フード780円~
サービス料10%(チャージ無し)
*価格はすべて消費税、サービス料込み。