女性のための、とてもわかりやすいバー講座「カウンター学のススメ」

Series2 お気に入りのバーを見つけよう

東京・渋谷 BAR Adonis篇
「ひとり酒の効用」
写真・川田雅宏

女ひとりの時間を大切にする

友人と何度か同じバーに通い、バーテンダーと顔見知りになり、馴染みの客としての会話が少しでもできるようになったならば、ひとりでカウンター席に座ってみることをおすすめします。 それは、上質なお酒を味わいながら、ゆったりと自分ひとりの時間を過ごせる最適な場所のひとつがバーだからです。心理療法士の中には、自分というものを取り戻し、自分を見つめ直す時間の必要性としてバーの効用を説くとともに、とくに仕事をハードにこなしている女性に対して、ひとり酒をすすめられる方がいらっしゃるほどです。 現代人は、自分自身をプレゼンテーションしつづけなければならないような日々を送っています。またインターネットを使いこなすことが当たり前となり、常にコミュニケーションをはかることを余儀なくされます。他者と直接対面しなくても、自分に関わる案件はすべてメールという通信手段で対応しなければいけません。ひとりコンピュータに向かっていながらも誰かを意識していなければならず、ひとりではない、といった場合が少なくありません。 精神的な疲れを抱え込んでしまったとき、自分を見失いかけたときこそ、バーを活用すべきだそうです。
「お酒でリラックスして、静かに自分だけの時間を過ごされる女性客もいらっしゃいます。おそらくカウンター席でスイッチをオンからオフに切り替えながら、いろいろな思いを飲み込んだり、噛み砕いたりされているのでしょう」
渋谷「Adonis」のバーテンダー、鈴木健司さんはこうおっしゃいます。そういう方には、必要以上に声をかけないようにしているそうです。ただ、孤独に浸りながらも、適度な会話によってこころも和みます。
「物思いにふけりながらも、束の間、バーテンダーに、この間の休みは何をしていたんですか、とか、近くにおいしいレストランはありますか、といった何気ない質問を投げかけていただくだけでも、そこからの会話でお客様の気持ちは和んでいっているような気がします」
鈴木さんのお話をうかがっていると、バーテンダーという存在を上手に味方につけると、ひとりの時間も寂しくないのではと思えます。

上質なお酒とカウンターに癒される

バーの照明にも効用があるそうです。ピンスポットをはじめ、お店によって間接照明の方法はさまざまですが、一様にほの暗い空間といえます。あの落とした明るさに慣れるほどに気持ちは穏やかになり、自分の世界に入り込みやすくなるといいます。 カウンター、ほの暗い照明、そしてお酒。非日常の静かな空間がこころの平穏に導くといい、心理療法士の方の著書の中には「身近な場所に、ひとりで行けるバーをつくりましょう」と書かれたものがあるほどです。 鈴木さんの「Adonis」は喧噪の街、渋谷にありながら、非常にしなやかなジェントル・ブリーズがそよいでいます。ここだけ別の時間が流れているようです。こういうお店の常連となっておくと、こころが折れそうなとき、人との交わりから逃れたい時、きっと救いとなることでしょう。

もしいま、女性がひとりカウンター席に着いたとして、どんなカクテルをおすすめになられますか、と乱暴な質問を鈴木さんに投げかけてしまいました。 女性像が浮かばないと難しいと言いながらも優しい鈴木さんは、お酒を嗜む女性には、まずはブランデーにオレンジリキュールとレモンジュースがミックスされて甘酸のバランスのよい「サイドカー」をすすめられることが多いと教えてくださいました。あまりアルコールに慣れていらっしゃらない方には、9月くらいまでならばフレッシュな桃の果実とシャンパンの華やぎのある「ベリーニ」をすすめてみるそうです。 どちらもフルーティーな甘さに、心地よい酸味が感じられます。この味わいが人を優しく包み込むのかもしれません。 適度な酔いと、バー・カウンターという特別な場所が、疲れたこころを癒してくれます。どうか、自分好みの素敵なバーを見つけて、ひとりの時間を愉しんでみてください。

「Adonis」だけでなく、渋谷には素敵なスタンダードなバーがたくさんあります。
BAR-NAVI検索からあなたが惹かれたバーへ、是非一度訪ねてみてください。
尚、BAR Adonis鈴木健司さんには、12月末からのSeries 3に再登場いただきます。

バーテンダー・鈴木健司
サイドカー
ベリーニ
BAR Adonis150-0043
東京都渋谷区道玄坂2-23-13
渋谷デリタワー9F
Tel.03-5784-5868
18:00~2:00(不定休)

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